一般社団法人FAQ
一般社団法人の設立には、最低11万円の法定費用が必ずかかります。
必ずかかる費用
公証役場での手続き
定款認証手数料:5万円
定款の謄本代:約2千円
(紙の定款の場合、別途4万円の印紙税が必要。電子定款の場合は不要)
法務局での登記
登録免許税:6万円
その他
実印作成:5千円~1万5千円程度
印鑑証明書など:数千円
専門家に依頼する場合
司法書士に設立登記手続き依頼すると、上記に加えて報酬が必要です。
専門家報酬:10万円~20万円程度
自分で手続きする場合
手続きを自分で行えば、約11万円~で設立できます。ただし、定款作成や登記申請には法律知識が必要なため、初めての方は専門家への相談をお勧めします。
※設立後も費用がかかります
設立後は毎年、法人住民税(年間7万円程度)などの維持費用が発生することにもご注意ください
一般社団法人には税務上、「非営利型」と「普通型(非営利型ではない)」の2つのタイプがあり、税金のかかり方が大きく異なります。
最大の違いは税金
<非営利型一般社団法人>
収益事業(34業種)を行った場合のみ、その利益(所得)に法人税がかかる
収益事業以外の利益(所得)には法人税がかからない
会費収入や寄付金収入などは原則非課税
<普通型一般社団法人>
すべての利益(所得)に法人税がかかる
株式会社や合同会社と同じ扱い
非営利型になるための条件
●定款に必ず記載が必要な事項
1.剰余金を分配しないこと
2.解散時の残余財産を国や公益法人などに帰属させること
●実際の運営で守る必要がある事項
3. 理事や社員に特別な利益を与えないこと
4. 特定の人に支配されていないこと(各理事について、その理事と親族関係にある理事の合計が理事総数の3分の1以下であること)
定款への記載だけでなく、実際の運営でもこれらの要件を満たす必要があります。
どちらを選ぶべきか
●非営利型がおすすめのケース
・会費や寄付で運営する団体
・収益事業に該当しない事業が収入減(講座、セミナー、資格検定など)
●普通型でもよいケース
・非営利型の要件を満たすのが難しい(親族以外の理事を探せない等)
・実施する事業がすべて収益事業に該当している(物品販売業や請負業など)
迷った場合は、まず普通型で設立し、後から必要に応じて非営利型に変更することも可能です。
逆に、非営利型で設立して普通型に変更する場合には一定の課税が生じることがあるので注意が必要です。
いずれにせよ、税理士や司法書士などの専門家に相談しながら検討をしてください。
一般社団法人と株式会社は、どちらも法人格を持つ組織ですが、目的や仕組み、税制面で大きな違いがあります。
最大の違い:「持分」の有無
株式会社
持分(株式)がある
株主が会社を所有し、利益を配当として受け取れる
株式の売買で所有権が移転する
一般社団法人
持分の概念がない
誰かが「所有」するものではない
剰余金の分配はできない(法律で禁止)
設立要件の違い
株式会社
設立者:1名以上
資本金:1円以上(実務上は数百万円程度が一般的)
取締役:1名以上
定款認証が必要
一般社団法人
設立者(社員):2名以上
資本金:不要
理事:1名以上
定款認証が必要
一般社団法人の方が資本金が不要なため、初期費用を抑えて設立できます。
設立費用の違い
株式会社
定款認証手数料:1万5千円から5万円(資本金額と条件により変動)
資本金100万円未満で一定条件を満たす場合:1万5千円
資本金100万円未満:3万円
資本金100万円以上300万円未満:4万円
資本金300万円以上:5万円
登録免許税:15万円(または資本金×0.7%のいずれか高い方)
最低約17万円から20万円
一般社団法人
定款認証手数料:5万円
登録免許税:6万円
最低約11万円
一般社団法人の方が設立費用は安くなります。
税制面での違い
株式会社(普通法人)
すべての所得に法人税がかかる
法人税率:約23%(中小法人の場合、所得800万円以下は約15%)
一般社団法人
非営利型の場合:収益事業(34業種)のみ課税
法人税率:約23%(中小法人の場合、所得800万円以下は約15%)
普通型の場合:株式会社と同じく全所得に課税
一般社団法人を非営利型として設立すれば、会費や寄付金などの収入には法人税がかかりません。
利益の分配
株式会社
利益を配当として株主に分配できる
株主への利益還元が可能
一般社団法人
剰余金の分配は法律で禁止
利益が出ても社員や理事に分配できない
利益は事業活動に再投資するしかない
事業承継・相続の違い
株式会社
株式を相続人に引き継げる
株式に相続税がかかる
株価が高いと相続税負担が重くなる
一般社団法人
持分がないため、通常は相続税の対象外
ただし、特定一般社団法人に該当する場合は相続税が課税される
同族で理事の過半数を占めると課税対象になる可能性
どちらを選ぶべきか
株式会社が向いているケース
利益を配当として受け取りたい
将来的に上場を目指したい
株式で資金調達をしたい
事業の売却を考えている
一般社団法人が向いているケース
社会貢献活動や公益的な事業を行いたい
会費や寄付で運営する団体
業界団体や同業者組合
行う事業が収益事業(34業種)に該当しない場合
まとめ
一般社団法人と株式会社の最大の違いは、「持分」があるかないかです。株式会社は株主に利益を還元する営利組織ですが、一般社団法人は利益の分配ができず、事業目的の実現に重点を置いた組織です。
どちらを選ぶかは、事業の目的、資金調達の方法、税制面でのメリット、将来的な計画などを総合的に考えて判断する必要があります。迷った場合は、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
一般社団法人とNPO法人(特定非営利活動法人)は、どちらも非営利目的の法人ですが、設立要件、活動内容、運営方法などに大きな違いがあります。
主な違いの比較
設立の手続き
一般社団法人は、2名以上の社員がいれば設立でき、定款認証と登記のみで設立が完了します。設立まで約2〜3週間程度と比較的短期間です。
NPO法人は、10名以上の社員が必要で、所轄庁(都道府県または政令指定都市)の認証を受ける必要があります。設立まで4〜6か月程度かかることが一般的です。
活動内容の制限
一般社団法人は、公序良俗に反しない限り、基本的にどのような事業でも行うことができます。収益事業も自由に行えます。
NPO法人は、特定非営利活動促進法で定められた20分野の活動に限定されます。また、その活動が不特定かつ多数のものの利益(公益)に寄与することが必要です。
情報公開の義務
一般社団法人は、貸借対照表の公告義務はありますが、それ以外の情報公開義務は基本的にありません。
NPO法人は、毎年度、事業報告書、活動計算書、貸借対照表などを所轄庁に提出し、これらは一般に公開されます。透明性が高く求められます。
税制上の取り扱い
一般社団法人は、非営利型の要件を満たせば、収益事業のみ課税されます。要件を満たさない場合は、全所得に対して課税されます。
NPO法人は、原則として収益事業のみ課税されます。さらに、認定NPO法人になると、寄付金控除などの税制優遇を受けられます。
役員の報酬
一般社団法人は、役員報酬について特に制限はありません。定款や社員総会で自由に決定できます。
NPO法人は、報酬を受ける役員は、役員総数の3分の1以下でなければなりません。
どちらを選ぶべきか
一般社団法人が適している場合
早急に法人を設立したい
事業内容に柔軟性を持たせたい
会員向けのサービスを中心に行いたい
情報公開を最小限にしたい
NPO法人が適している場合
公益的な活動を中心に行いたい
社会的信用を重視したい
認定を取得して税制優遇を受けたい
市民からの寄付を集めたい
両法人形態にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、団体の目的や活動内容、将来の展望などを総合的に検討して選択することが重要です。設立前に、税理士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
一般社団法人と一般財団法人は、どちらも2008年に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立できる非営利法人ですが、その成り立ちや運営方法には大きな違いがあります。
基本的な違い
法人の性質
一般社団法人は「人の集まり」を基盤とする法人です。社員(構成員)が集まって事業を行うことを目的としています。
一般財団法人は「財産の集まり」を基盤とする法人です。一定の財産を元に、その運用益などで事業を行うことを目的としています。
設立要件の違い
一般社団法人の設立要件
設立時社員:2名以上
基金・財産:不要(0円でも設立可能)
定款の作成と認証が必要
設立登記により成立
一般財団法人の設立要件
設立者:1名以上(設立後は不在でも可)
拠出財産:300万円以上
定款の作成と認証が必要
設立登記により成立
組織構造の違い
一般社団法人の機関
社員総会(最高意思決定機関)
理事(最低1名、理事会設置の場合は3名以上)
監事(任意、理事会設置の場合は必須)
理事会(任意)
一般財団法人の機関
評議員会(必須)
評議員(3名以上)
理事(3名以上)
監事(1名以上)
理事会(必須)
一般財団法人は、評議員会・理事会の設置が必須で、より厳格な組織運営が求められます。
運営上の違い
意思決定の仕組み
一般社団法人では、社員が社員総会で議決権を行使し、法人の意思決定を行います。社員は入社・退社が自由で、人数の増減が可能です。
一般財団法人では、設立者の意思(定款)に基づいて運営され、評議員会が理事・監事を選任・解任します。設立後は設立者が不在でも運営が継続されます。
財産・基金の扱い
一般社団法人は、基金制度を利用できます(任意)。基金は返還義務がありますが、運転資金として活用できます。
一般財団法人は、300万円以上の基本財産が必要で、2期連続して純資産が300万円を下回ると解散となります。
税制上の違い
両法人とも、要件を満たせば「非営利型法人」として収益事業のみ課税となります。要件を満たさない場合は、全所得課税となります。
非営利型の要件
両法人共通で以下のいずれかの類型に該当する必要があります:
非営利性が徹底された法人
共益的活動を目的とする法人(一般社団法人のみ該当可能)
どちらを選ぶべきか
一般社団法人が適している場合
会員組織として運営したい
初期費用を抑えたい(財産要件なし)
社員の参加により民主的に運営したい
業界団体、同窓会、協会などを設立したい
一般財団法人が適している場合
まとまった財産(300万円以上)がある
設立者の意思を永続的に実現したい
奨学金や助成金事業を行いたい
美術館、研究機関などを運営したい
設立・運営コストの違い
一般社団法人
設立費用:約11〜20万円(登録免許税6万円+定款認証費約5万円+その他)
運営:比較的簡素な体制も可能
一般財団法人
設立費用:約11〜20万円+拠出財産300万円以上
運営:評議員会・理事会の開催など、運営コストが高い
両法人とも設立は比較的容易ですが、目的や財産の有無、運営方法の希望によって適切な法人形態を選択することが重要です。特に一般財団法人は、設立後の機関運営が複雑になるため、慎重な検討が必要です。
「法人格を持つことで、活動の信用力と安定性が大幅に高まること」です。
任意団体のままでは法律上の“団体”として扱われず、代表者が個人として責任を負う場面が多く、活動の幅が制限されがちです。一方、一般社団法人になると次のようなメリットがあります。
■ 主なメリット
契約の主体になれる(法人名義で契約可能) 銀行口座開設、会場の賃貸借契約、講師依頼、スポンサー契約などを「個人ではなく法人名義」で行えるため、活動の信用力が高まります。
代表者の個人リスクを軽減できる 任意団体では、代表者が個人として契約や責任を負うことが多いですが、法人化により責任が法人に分離され、個人リスクを抑えられます。
補助金・助成金、行政との連携が進めやすい 法人格があることで行政や学校、自治体との協力がスムーズになり、申請できる補助金・助成金の範囲も広がります。
団体の継続性が確保できる(代表が変わっても存続) 任意団体は代表者の交代で実態が不安定になりますが、法人化すれば“団体そのもの”が存続し、活動が継続できます。
社会的信用力の向上 法人登記されていることで、スポンサー企業、寄付者、保護者、行政などからの信頼が得やすくなります。
口座資金の透明性が高まる 法人名義の口座が使えるため、お金の流れを明確にでき、内部統制にも役立ちます。
任意団体として活動してきた団体が「責任の明確化」「信用力の向上」「活動の安定化」を求める場合、一般社団法人化は非常に有効な選択肢です。
社員とは
一般社団法人における「社員」とは、一般社団法人の最高意思決定機関である社員総会の構成員のことを指します。株式会社における「株主」に相当する立場の方々です。
社員の主な権利・役割:
社員総会における議決権の行使
定款変更などの重要事項の決定
理事・監事の選任・解任
法人の最高意思決定機関である社員総会の構成員
重要な注意点:
一般的な会社の「従業員・職員」という意味ではありません
一般社団法人を設立するには、最低2名以上の社員が必要です
ただし、設立後は社員が1名になっても法人は存続できます
社員が0人になった場合は、法人は解散することになります
理事とは
理事は、法人の業務執行を行う役員のことです。株式会社における「取締役」に相当します。
理事の主な役割:
法人の日常的な業務の執行
理事会での意思決定(理事会設置法人の場合)
法人を代表する権限(代表理事の場合)
社員総会で決定された方針の実行
設立要件:
一般社団法人には最低1名以上の理事が必要です(非営利型の場合は最低3名以上)
社員と理事の違い
社員と理事は、その役割が大きく異なります。
社員は「一般社団法人の最高意思決定機関である社員総会の構成員(意思決定者)」であり、株式会社でいえば「株主」に相当します。社員総会において議決権を行使し、法人の重要事項を決定する立場です。
一方、理事は「法人の業務執行者」であり、株式会社でいえば「取締役」に相当します。社員総会で決定された方針に基づいて、実際に法人の業務を執行する立場です。
最低人数についても違いがあります:
社員:設立時は2名以上必要(設立後は1名でも可)
理事:設立時・設立後ともに1名以上必要(非営利型の場合は最低3名以上)
兼任について
社員と理事は兼任することができます。
実際、多くの一般社団法人では、社員の中から理事が選任されるケースが一般的です。
兼任の例:
社員2名が理事で、そのうち1名が理事を兼ねる
すべての理事が社員を兼任する
よくある誤解
❌ 誤解: 社員=従業員・職員
✅ 正解: 社員=一般社団法人の最高意思決定機関である社員総会の構成員(意思決定権を持つメンバー)
一般社団法人の「社員」は、一般企業でいう「社員(従業員)」とは全く異なる概念ですので、ご注意ください。
銀行口座開設の現状
一般社団法人を設立した直後に、大手地方銀行やメガバンクで口座を開設することは、近年かなり難しくなっています。
その主な理由は、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の強化です。金融機関は法人口座の開設審査を厳格化しており、特に設立間もない法人や実態が確認しにくい法人については、慎重な審査が行われています。
おすすめの金融機関(優先順)
一般社団法人が口座を開設する場合、以下の順番で検討されることをおすすめします。
1. ネット銀行(最もおすすめ)
ネット銀行は比較的審査が緩やかで、設立直後の一般社団法人でも口座開設がしやすい傾向にあります。
ネット銀行のメリット:
審査が比較的スムーズ
振込手数料が安い
インターネットバンキングが標準装備
来店不要で手続きが可能
2. 地元の信用金庫
地域に根差した信用金庫も、比較的柔軟に対応してくれる場合があります。
信用金庫のメリット:
地域密着型で相談しやすい
事業内容を丁寧に説明すれば理解してもらいやすい
将来的な融資相談もしやすい
3. 大手地方銀行・メガバンク
設立直後は口座開設が難しいため、事業実態ができてから検討することをおすすめします。
審査で重視されるポイント
銀行口座開設の審査では、事業実態があるかどうかが最も重要なポイントとなります。
具体的な確認事項:
事務所の実在性(バーチャルオフィスは不可の場合が多い)
事業内容の明確性
ホームページの有無
定款や登記事項証明書の内容
代表理事の本人確認
事業計画や収支見込み
口座開設をスムーズに進めるためのポイント
事前に準備しておくべきもの:
登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
定款
代表理事の本人確認書類
事業内容を説明できる資料(パンフレット、ホームページなど)
事業計画書(求められる場合)
審査で有利になるポイント:
ホームページがあり、事業内容が明確
実際の事務所がある(バーチャルオフィスではない)
事業の公益性や社会的意義が説明できる
すでに活動実績がある
実務上のアドバイス
設立直後は、まずネット銀行で口座を開設し、事業活動を開始することをおすすめします。事業実態ができてきた段階で、必要に応じて地元の信用金庫や地方銀行に追加で口座を開設するという流れが現実的です。
また、口座開設の際には、事業内容や法人の目的を明確に説明できるよう準備しておくことが重要です。審査担当者に「この法人は実態のある事業を行っている」と理解してもらえるかどうかが、口座開設成功の鍵となります。
